ハイドロカルチャーの植え替え方法と失敗しない鉢選びのコツ

初心者におすすめ!ハイドロカルチャーで育てる観葉植物
おしゃれさや癒しを求めて、ご自宅やオフィスなど屋内でグリーンを楽しむ方が増えていますが、一般的な鉢植えとは違う「ハイドロカルチャー」という方法があるのをご存じですか?観葉植物を土を使わず、水と専用の資材で育てるこの方法は、汚れを気にせず室内で手軽に始められインテリアとしても人気となっています。
手軽な反面、植え替えの知識がなかったり、鉢選びで悩むという声もよく耳にします…
そこで、ハイドロカルチャー初心者さんでも失敗しない植え替えの手順と、おすすめのハイドロカルチャー専用鉢を紹介していきます。

室内インテリアとしても人気ハイドロカルチャーの魅力
ハイドロとはギリシャ語で「水」、カルチャーは「栽培」を意味し、土を使わない水耕栽培の一種をハイドロカルチャーといいます。土の代わりにハイドロボール(人工の植え込み資材)を使っているのが大きな特徴です。
ハイドロボールは粘土を高温で焼き上げた軽石のようなもので、一つ一つに細かい穴がたくさん空いていて、その中に取り込まれた空気が植物に酸素を供給してくれます。
通常の土とは違い無機質なので、匂いや虫が発生しにくく、手や室内が汚れたりしません。水やりの頻度も土で栽培する植物ほど多くなく、忙しい方や、植物初心者さんにもぴったりの栽培方法なのです。

ハイドロカルチャーの植え替えは必要?
ハイドロカルチャーの場合は、植え込み資材自体が腐食したり劣化してしまうことはほとんどありません。また、粒状でコロコロとしているので、土のようにだんだん固くなって根の成長を妨げるこということもありません。
では植え替えも必要ない?という印象がありますが、植物の健康を保つためには生長に合わせて定期的な植え替えが必要です。
それではいったいどんなタイミングで植え替えを行えばよいのでしょう?
植え替えのタイミングはいつ?どんなとき?
ハイドロカルチャーの植え替えのタイミングは、大きく分けて2点あります。
単純に「生長による植え替え」と「ハイドロボールの汚れや劣化による植え替え」です。ではこのタイミングを見逃さないためのサインを詳しく解説していきます。
生長による植え替えのサイン
こちらは植物がぐんぐん育ってくれたことによるうれしい植え替えです。容器の大きさに対して植物が大きく育っている場合、見た目のバランスも悪く転倒の危険もあるため、大きな鉢に植え替えてあげましょう。
こちらの生長は見てわかるので、サインを見逃すことはないと思いますが、見落としやすいのは、根の生長によるものです。透明の容器で育てている場合は、時々観察してみてください。根がガラスの周りにもいっぱい見えてきたときは植え替えの時期です。
また、中身の見えない鉢で育てている場合はさらに注意が必要です。この場合の根詰まりのサインは、植物の元気がなくなってきた時です。日当たりや水の管理はいつも通りなのに、葉の色が黄色くなってきたり、元気がないと感じた時は、根詰まりから根腐れを起こしている可能性があります。
ハイドロボールの汚れや劣化による植え替えのサイン
先にも述べた通り、ハイドロボールは無機質なため、それ自体が腐敗したりすることはありません。ただ日が経つにつれ、ハイドロボールにも徐々に老廃物やほこりによる汚れは蓄積されます。そこに白っぽいカビや苔、藻が付いたら、植え替えのサイン!
ハイドロボールは内部に多くの気泡を含んでおり、それによって水分を適度に維持しています。汚れや藻類の付着で粒表面が覆われると、通気性や排水性が低下し、根腐れのリスクが高まるため、ハイドロボールの交換・洗浄を検討しましょう。
植え替えに適した季節
植え替えは、観葉植物に大きなストレスやダメージとなることも。特に真冬や真夏は多くの観葉植物の休眠期と重なっており、植え替えが致命傷となることも少なくありません。サインに気づいたときが、真夏だったり真冬だったりすると、タイミングを逃してしまいます。
ハイドロカルチャーの植え替えは土と違って短時間で行えるので、1年に1度、春や秋に植え替えの時期を決めて、計画的に植え替えを行ってあげるのが植物にとっては理想的です。
初心者でも簡単!ハイドロカルチャーの植え替え方法
必要な道具
ハイドロカルチャーの場合は、ハイドロボールをきれい洗ってまた使用できるので、新しい鉢とザルさえあれば植え替えは簡単に行えます。生長による植え替えの場合は、今のものより一回り大きな鉢を用意しましょう。また、洗浄のため同じ容器に植え替える場合も、容器は一度きれいに洗っておきましょう。
具体的な植え替えの手順
2.植物を優しく抜く
土で育てる植物と違い、簡単に抜くことができますが、根を傷つけないよう優しく抜きましょう。この時古い根などはカットしておきましょう。
2.ハイドロボールを洗う
ハイドロボールをザルに取り出し、汚れが出なくなるまで洗い流します。半乾きで手につかない程度になったら新しい鉢にうつします。
これまで使っていたハイドロボールを再利用する場合は、細かな根などが混じっていたらこのタイミングで取り除いてあげてください。また、カビや藻が生えていた場合は、熱湯消毒が有効のようです。
新しいハイドロボールに交換する場合も、使う前に軽く洗っておくと水の濁りが軽減されますよ。
3.新しいハイドロカルチャー専用鉢にセット
新しい鉢(またはきれいに洗った同じ鉢)に洗浄したハイドロボールを少し入れて、植物の高さを見ながらセットする。残りのハイドロボールで固定したら完成!
一回り大きい鉢に植え替える場合は新しいハイドロボールを追加してください。
初心者の方が失敗しない、プロ目線の鉢選びのポイント
ハイドロカルチャーは、初心者にも扱いやすいのが魅力の一つですが、失敗しないためには「鉢選び」がとても重要なポイントに!植物のプロの視点から、押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
1、初心者にはおすすめしないガラス容器
ハイドロカルチャーと検索すると、おしゃれなガラス容器に入った植物の写真がたく
さん出てきますが、通気性や排水性を考えると、圧倒的に陶器性の鉢がおすすめです。細微な気孔があり、水分が鉢の側面からも蒸発し根の加湿を防いだり空気の出入りも可能。ハイドロボールのカビも防ぐことができます。
それに比べてガラスの鉢は、密閉性が高く、通気性・排水性はほぼありません。水分がこもりやすく、根腐れの原因になります。また、遮光性もないので、光が当たって水温があがりやすく、こちらも根腐れの原因になりかねません。
しかしガラス鉢は、透明感のある美しさや水・根・ハイドロボールをアクアリウム的に楽しむことができたりと魅力もたくさん。インテリア性を重視してガラスを使う場合は、二層構造のものを使うと良いでしょう。

2、サイズ選びのポイント
植物より一回り大きいものを選びましょう。小さすぎると根が詰まりやすく植物も窮屈です。ただし、大きすぎると水分量が多くなり過ぎて今度は水の管理が難しくなります。植物の成長も考えて、余裕を持たせつつ、適切なサイズ選びを心がけましょう。
サイズ
サイズは育てたい食虫植物に合わせて決めましょう。一般的には、1.5号~4号の鉢を使用する場合が多い傾向にあります。
一人暮らしやお部屋が狭いなら1.5号~2号程度のコンパクトな鉢、大きめの植物を育てるときやお部屋のアクセントにしたいなら3~4号の鉢がおすすめです。

3、衛生面とメンテナンスを考えた洗いやすい鉢
ハイドロカルチャーは、ハイドロボールを洗うために同じ容器に植え替えることもあります。少しでも手間を省くため、鉢は洗いやすい素材・形を選びましょう。
4、インテリアとの調和も考えたおしゃれな鉢
ハイドロカルチャーをチョイスする方には、インテリアとしての側面を重視している方もきっと多いはず。植物が主役ではありますが、植物よりも鉢の質感・色・形のほうが空間に与える影響は大きいです。シンプルな空間を大事にしたいならガラス、和モダンやナチュラル系なら陶器という風に質感で選んだり、柔らかい雰囲気にしたいなら丸い鉢、高さを出したいなら縦長のものを選んだり、鉢選びから楽しんでみてください。
また、植物も鉢もひとつ置きだとなんだか空間が浮いたようでやぼったくなることも。そんな時は複数並べることで解決することもあるので、やりすぎない程度にいくつかの鉢を並べてみるのも上級者のテクニックです!
おすすめのハイドロカルチャー専用鉢2選
1,おしゃれ×楽しい×洗いやすい鉢「根っこさん」
水耕栽培の楽しみといえば何といっても根っこの成長が見えること。でも初心者には、通気性・排水性・遮光性の観点からガラスの器は難しいと言われたばかり…
そんな悩みを解消してくれるのが、この根っこさん!

ハイドロボールと根元の部分は陶器のポットに包まれていて、通気性・排水性・遮光性どれをとっても文句なし。ガラスの花瓶にセットして使う構造だから伸びてくる根っこは見て観察できるというわけです。しかも、ただ伸びる根っこを見るだけでなく、スリット代わりに側面にはお顔に見えるように穴が開いているので、目から出たら「まつ毛」、下から出たら「おひげ」と楽しみながら根っこを観察できるところがこの鉢の最大の魅力!


二層構造なので、取り外してガラス容器だけを洗えるのも嬉しいポイントです。

お子様のいる家庭にもおすすめです。根っこさんで植物の不思議や育てる楽しみを体験してみてください。
また、二層構造には洗いやすいメリットも!ガラス容器が汚れてきたけれど、そんなに頻繁に植物を取り出して…は、手間的にも植物的にもおすすめできません。この根っこさんなら、取り外してガラス容器だけを洗えるので、毎日の水の管理も簡単。初心者にぴったりのハイドロカルチャー専用鉢です。

2,水の管理も簡単!シンプルモダンな受け皿一体型「すーさん」
土のいらないハイドロカルチャーでポイントとなるのは、水の管理。水分量は器の高さの1/4 ~ 1/5ぐらいが理想と言われていますが、不透明な陶器で育てる場合、水位計がないと目で水の量を知ることは困難です。水やりも根腐れを防ぐために、溜まっている水が無くなってからと言われているけれど、これもまた見えなければ至難の業。

その難しい水の管理が、簡単にできる鉢がこの受け皿一体型の「すーさん」なのです。二段構造になっていて、鉢の底面とその側面には穴やスリットがたくさんあり、受け皿の方には水を溜められるようになっています。ここの水がなくなったら、水を継ぎ足せばいいので、自然と下から1/4 ~ 1/5の水分量を保つことができるというわけです。


機能面では、腰水ができるように、穴あきの鉢に深い受皿をセットしました。鉢の底部・側部に穴やスリットを入れることで、水はけも良くなり、根腐れしづらい仕様になっています。
二層構造受け皿が一体であることでインテリア性も高く、陶器ならではの厚みがあるので少し個性的な植物との相性も抜群です。
正しい知識と鉢選びで失敗しないスタートを
植物専門店だけでなく、雑貨屋さんなどでも見かけるハイドロカルチャー。専門的な知識がなくても育てられそう…と手軽に始めてみたはいいけど、やっぱり枯れちゃった。というのは避けたいところ。
植物のこともちゃんと愛して、長く楽しんでほしい。そのためにはある程度の知識は必要です。次回のコラムでもう少し詳しいお世話のポイントについても触れますが、今回のコラムを読めば、大きなポイントは抑えられています!
清潔を保って植え替えのタイミングを逃さないこと、鉢選びをしっかり行うことで、自然とその植物にとって良い環境が保たれ、初心者にも扱いやすいということ。
初心者の方ほど、最初は「ハイドロカルチャー専用鉢」を用意して、観葉植物をきちんと育てる楽しみを味わってみませんか?