土を使わずに観葉植物を育てられる「ハイドロカルチャー」。手軽に室内グリーンを取り入れられるだけでなく、鉢と植物の組み合わせ次第で、空間の雰囲気をがらりと変えることができるため、インテリアとしても人気を集めています。おしゃれな見た目にプラスして「虫が寄ってこない」「育てる手間もかからない」と勧められると、植物初心者でもついおうちにお迎えしてみたくなるそんな魅力があります。
では、実際の管理や手間はどうなのでしょうか?今回は、ハイドロカルチャーの水替え頻度やメリット・デメリットなど、購入前に知っておきたい情報を分かりやすく解説します。
土を使わない植物ハイドロカルチャーとは?
初心者向け基礎知識
ハイドロカルチャーは水耕栽培の一種で、土の代わりにハイドロコーンなどの人工的な植え込み資材を使用し、水だけで植物を育てる方法です。室内に適した栽培方法と言われ、耐陰性(少ない日光でも育つ植物の性質)のある観葉植物であれば、ハイドロカルチャーで立派に育てることができます。
ではハイドロカルチャーのどんなところが室内に適していて、初心者にもおすすめなのか?メリット面を見ていきましょう。
ハイドロカルチャーのメリットは?
清潔で虫が出にくい
まず一番のポイントは土を使わないということです。一般的な観葉植物用の土には、堆肥や腐葉土といった有機物が含まれています。これらは植物にとっては栄養源となりますが、一方でコバエなどの虫やカビの発生源となる可能性もあります。
対して、ハイドロコーンのような植え込み資材は無機質で、虫やカビがわきにくくとても清潔。土の汚れや匂いも気にならないため、水やりや植え替えの作業も汚れを気にせず室内のキッチンや洗面所で完結。暑い日も寒い日も快適にお世話をすることができるのです。
また、ハイドロコーンは大き目の粒なので、うっかり転倒させてしまっても大惨事には至りません。子どもやペットのいる家庭でも安心して育てられる植物なのです。
管理がラクで初心者向き
植物のお世話には欠かせない水やり。簡単なことのように思えますが、実は初心者にとって最も難しいポイントでもあります。
植物はしゃべってくれないので、水の過不足の判断はとても難しいです。気温や置く場所によっても必要な水分量は違いますし、土の表面が乾いていても中には十分な水分があるなんてことも。
ハイドロコーンの場合、容器が透明であれば色の変化で水分量を判断できますし、水位計を使えば透明ではない鉢でも現在の水分量が目視できます。
水のやりすぎ(加湿)・水切れ(乾燥)の判断に長年の経験や熟練の技を必要としないので、初心者でも最適な水分をコントロールしやすいというのが特徴です。
おしゃれな見た目でインテリア性が高い
ハイドロカルチャーで育てることのできる植物はかわいいものから、かっこいいもの、また個性的でおもしろいものなどバリエーションが豊富。
また、ハイドロカルチャー用の鉢や容器も、真っ白でシンプルなものから、理科の実験道具のようなもの、柄や色が特徴的なものや、無骨でかっこいいものなど、室内での栽培を想定しているからこそ実現するデザインのものもたくさん。
鉢や容器のデザインとカラーだけでも空間のアクセントになるのに、植物×容器の組み合わせで、自分だけインテリアが生まれると思うとその可能性は無限大。インテリアにこだわるおしゃれさんにとってこれほど楽しいアイテムはありません。ぜひともお気に入りの組み合わせを見つけほしいです。
ハイドロカルチャーのデメリットは?
今度は逆に、購入前にきちんと知っておいてほしいデメリットについてもお伝えします。
水替えや清掃が必要
比較的お世話は楽な方ですが、水さえあげていれば何もしなくて良いというわけではありません。いくら無機質なハイドロコーンでも、日が経てば老廃物や外からのほこりなども付着します。そのまま放っておくと、水が濁る・匂うなどの原因になるので、最低限の水替えと容器やハイドロコーンの洗浄は必要です。
植物によっては合わない種類も
ハイドロカルチャーは自然界にはない特殊な環境のため、土では問題なく育つ植物でもハイドロカルチャーには合わない種類もあります。
水分過多を嫌う植物と、屋外で育てる必要のある植物は、ハイドロカルチャーには向きません。
例えば、乾燥した地域にもともと自生しているサボテンや多肉植物も、葉に多くの水分を含んで乾燥に耐える性質があり、長時間根を水に浸す方法では根腐れを起こしてしまいます。
また、日光と風通しの良い場所を好む植物も相性はよくありません。屋内で育てる場合、日光と風の当たる窓辺で育てなければいけませんが、ハイドロカルチャーは直射日光に当てると水温が上昇しやすくなり、こちらも根腐れにつながります。
なお、花を咲かせる植物などもハイドロコーンではうまく根を張れなかったり、たくさんの肥料が必要だったりするので、土で育ててあげましょう。
ハイドロカルチャーに向いている植物
では逆にハイドロカルチャーに向いている植物はどんなものでしょう?おすすめの植物を紹介していきます。
観葉植物の代表格!ポトス
パキラと並んで観葉植物の代表格。もともとは熱帯雨林に生えるつる性の丈夫な植物。耐陰性に優れていて、多湿な環境を好むためハイドロカルチャー初心者にはおすすめの植物。葉の色も明るく、形もきれいでみずみずしいポトスは室内を明るくしてくれインテリアとしてもおすすめです。
▼ポトス

環境適応能力に優れたアイビー
アイビーは葉の形や模様が豊富な品種で、星形やハート型の葉、まだら模様やマーブル模様など選ぶのも楽しく、お子様のいる家庭にも人気です。また環境の変化に柔軟に対応でき、暑さ寒さにも強く、日光を好むのに耐陰性もあるという生命力あふれる植物で、留守がちな方や初心者向け。

成長に伴って葉の形が変化するシンゴニウム
幼葉のころは矢じり型の葉っぱが特徴のシンゴニウム。だんだん卵型になり、大きくなるにつれ切れ込みが入った形になるので、上手に育てるとその変化を楽しめます。もともと熱帯に生えているサトイモ科のつる性植物。耐陰性はありますが、日当たりの良い場所を好みますが、直射日光と寒いところは苦手なので、ハイドロカルチャーにはとても向いている植物です。
▼シンゴニウム

赤と緑のコントラストが爽やかな アンスリウム
つくしのような部分とそれを守る赤い傘が特徴的なアンスリウム。それ全体でお花のように見えますが、大きな花びらに見える赤い傘は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる葉の一部。つくしのように見えるのが多数の花の集合体。不思議な植物ですね。ハイドロカルチャーでは立派な花をつける植物を育てるのが難しいので、こちらがうまく花までつけてくれると、お部屋に赤い大きなお花が咲いたようできれいです。半日陰を好むので、室内で育てるハイドロカルチャーには向いています。
▼アンスリウム

その名の通り卓上サイズのテーブルヤシ
ヤシと聞くと南国で大きく育っているイメージがありますが、実は耐陰性もあり、成長スピードもゆっくりなので室内向けの植物です。成長がゆっくりとは言え日陰でもしっかり育ち、病気にもかかりにくい丈夫なテーブルヤシは初心者にもおすすめ。高温多湿にも強く、涼し気な細かい葉とトロピカルな印象で夏のインテリアにもぴったりです。
▼テーブルヤシ

これらの植物以外にも、ハイドロカルチャーで育てられる植物はたくさん。基本的に室内用観葉植物として販売されている植物ならどんな植物でもOKですが、ハイドロカルチャー用の苗として販売されているものを選べばより安心です。その中でも根腐れしやすい種類のものもあるので、上で紹介したような初心者向けのものを選んだり、植物の専門店であればお店の方に管理法などをよく聞いてみましょう。
水替えの頻度はどれくらい?
定期的な水替えが必要なことはわかったけれど、実際はどれくらいの頻度で行えばよいのでしょう?目安としては、月1~2回程度です。
ただし、容器内にカビや藻が発生していたり、匂いや水の濁りを感じたら、すぐに取り出して、容器を洗い水を交換しましょう。特に夏場はこまめにチェックして、そのような症状があったら即対応するようにしましょう。ハイドロコーンも年に1回は洗浄や交換をすることが推奨されています。カビや藻がついているハイドロコーンを洗浄して再利用する場合は併せて熱湯消毒をしておくと安心です。
ハイドロコーンどこで買う?
ハイドロコーンは別名ハイドロボールとも呼ばれ種類はたくさん。粒の大きさも様々ですし、見た目のきれいさを重視した色のついたもの、素材によっては繰り返しの利用に強いものや、保水性や給水性に違いがあることも。最近では100円ショップでも安価で手に入りますし、園芸店やホームセンターでも購入可能です。値段も様々ですが、専門的なアドバイスが必要なら園芸店、豊富な種類から選びたいならホームセンターと使い分けてみてください。
ハイドロカルチャーは暗い場所でも大丈夫?
ハイドロカルチャーは水温の上昇を嫌うので、基本的には半日陰や明るい日陰が理想です。とはいっても、完全な暗所はNGです。植物に必要な光合成が行えなくなるので、一日中暗い部屋は避けてください。室内でも窓際に置いたり、照明がついている時間の長いリビングなどがおすすめです。光が足りないなと思う場所に置きたい場合や留守にしている時間が長い方は、植物育成ライトを使えば不足する自然光を補うことができますよ。
ハイドロカルチャーは気軽に始められるグリーンライフ
土を使わない植物として注目のハイドロカルチャー。インテリアに植物を取り入れたいけれど、汚れや虫、管理の手間や難しさなどを理由に躊躇していた方にはぜひチャレンジしてほしい栽培方法です。ただし、植物を育てる以上、水替えや清掃などのお世話と、水やりや置き場所に関する最低限の知識は必要です。
事前に育てたい植物がハイドロカルチャーに向いているかを確認し、その特性を理解し、適切な環境を整えてあげることがグリーンライフを長く楽しむコツです。これを機に植物を育てることに興味が湧いてきたら、いろんな栽培方法にもチャレンジしたくなるかもしれませんね!
新しい趣味やチャレンジへの第一歩として、まずは手軽でおしゃれなハイドロカルチャーから始めてみませんか?
onajimiでは、植物の専門的知識を持つスタッフが作ったハイドロカルチャーに特化した専用鉢を作っています。
水の管理のしやすさや水耕栽培ならではのクリアな見た目を求めるとガラス容器は魅力的ですが、ハイドロカルチャーで栽培する植物の根っこにとって大事な通気性・排水性を重視すると気密性の高いガラスはおすすめできません。また水温の上昇を嫌うので、ガラス容器を日の当たる場所に置くのもNG。そんないろんなわがままを叶えてくれるのがハイドロカルチャー専用の「根っこさん」。
陶器+ガラス二層構造で、それぞれの良い点を最大限に生かしています。遊び心もたっぷりな根っこさんは、ハイドロカルチャーデビューにぴったりの鉢です。
初心者の方ほど、最初は「ハイドロカルチャー専用鉢」を用意して、観葉植物をきちんと
育てる楽しみを味わってみませんか?